悲しい目をしたマユゲ犬2.0

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壁井ユカコ「NO CALL NO LIFE」

遅くなりましたが読了。クリティカルなネタバレは書きません。
NO CALL NO LIFEASIN:4840235643
恋愛少女マンガは読んでも恋愛小説は読まない私ですが、作者のファンなので即購入。それにフツーの恋愛小説を壁井氏が書くわけない、という偏見な期待もあったので(ぉぃ
簡潔に述べるなら、相変わらず壁井氏の持ち味である痛くて切ない物語でした。そういえば氏の描く男性はみんなどこか刹那的なんですよね。いつも割と投げやりで不器用、ひとりだとどこか危うげで、でも実は優しくて、そして気づいたときには色々手遅れになる不幸な人。本作もその例外ではありません。イタイヨー。
作品のキーワードとしては家族、愛情、虐待、電話。ほんのちょっとだけファンタジー、というよりむしろホラー?子供と呼ぶには大人で、大人と呼ぶには子供な2人の刹那の恋は楽しくて、苦しくて、切なくて、残酷で、欠陥だらけで、拙くて、読んでいる方としては色々と抉られっぱなしでした。それと女性作家ならではのさりげない視点と描写がもうエロくてエロくてっ。主に血とか唇とか指とか鎖骨とか肩甲骨とか。ダメな子ですいませんすいません。
ただ、単行本収録というせいか掘り下げ方がやや足らず急ぎ足に感じる描写も見受けられましたが、単に私見なので問題ないでしょう。尚、作中に挿絵はありませんので鈴木次郎氏目当ての方は注意。まあ小説は絵で買うものじゃないと私は思いますけど、ラノベに関しては例外みたいですね。本作がラノベかと言われると私はやや首を傾げますが、ラノベの定義が私にはイマイチわからないのでほっといてください。
総じて良作。ご馳走様でした。やはり私は壁井氏の作品が大好きなようです。