悲しい目をしたマユゲ犬2.0

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西尾維新「化物語 上」

読了。
化物語(上) (講談社BOX)ASIN:4062836025
怪異譚ということで、吸血鬼やらなにやらと和洋問わず怪奇なものに遭遇する物語ですが、キャラクタ同士のおバカな掛け合いを書きたくて書いたんじゃないかとホントに思っていたところ、実際作者もあとがきでそのように書いていました。いやもう、ザレゴトシリーズ以上に言葉遊びに満ちた漫才の応酬が豊富です。本筋の物語もそれなりに真面目(失礼)ですが、如何せん掛け合いが面白すぎてシリアスな場面もそれほどシリアスに没入できないのが良いのか悪いのか(笑)
登場キャラクタは相変わらず西尾節というべきか、奇抜に奇抜を重ねてついでに奇抜で塗り固めてみました、みたいな強烈なのが揃ってます。身も蓋もない言い方をすれば、記号的要素の多大な付加と組み合わせということになりますが。なんというか、ツンデレやらロリやら××やら現代のニーズに応えて色々取り揃えてまーす、ただしそれらの組み合わせの選択不可、みたいな感じ。そのせいかおかげか、相変わらず既存の枠を超えたすごいキャラが生まれてますが、それも萌え……なのかしら?
下巻が12/1に発売ということでそちらも期待。肩肘張らずに読めます。


以下、作品の感想とは関係なくザレゴト。
ところで、「講談社BOX」とわざわざ新規レーベルをやり手編集者の太田氏が立ち上げたわけですが、わざわざ新たに立ち上げなければならない必然性および読者側の利点がまだ見えてきません。レーベルの方針としては以下のように書かれています。抜粋。

輝く“銀の箱”という、かつてない斬新なパッケージ。そこに入っているのは、日本のポップカルチャーのインデックスともいうべき、小説・まんが・ノンフィクションが渾然一体となった「ハイブリッド・レーベル」。それが“講談社BOX”です。講談社BOXは、世界市場で同時展開する“世界最強の出版レーベル”を目指してスタートします。
(以下略)
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/sengen.html

当然ながらいずれも講談社が扱っている既存のジャンルであり、新人賞も設定していますがここで活動する作家は新人だけではありません。それに完全に新作だけでなく、過去の作品もわざわざ改めて講談社BOXから出す作品もあります。出来たばかりのレーベルですし、どのように発展していくのかは現状ではまだ不明ですが、新規だからなのかファウストから続く太田氏の方針なのか、とにかく話題先行型の方針しかこちらには見えてこないのがなんとも。装丁に始まり、今後予定されている12ヵ月連続刊行など最たる例ですが。何はともあれ、新規で立ち上げた以上は装丁に凝る前に質で勝負して欲しいものです。