悲しい目をしたマユゲ犬2.0

音楽制作・読書・ゲーム・時々マジック


オリジナル・アレンジ楽曲をpixiv BOOTHで販売中。

Omegaの視界 シキのはじまり/未解封のハコニハ

プレイし終わりました。
本編を読んでいると小説という表現手段における様式の飽和というかなんというか、模倣の昇華すなわちオリジナリティ、その内訳の9割は先人が既に組み立てたものといっても過言ではないような気がしてきます。Omegaの視界はとりわけライトノベル寄りな文体で、更に西尾維新的な言葉遊び(同音異義語を半ば無理やり重ねたり押韻に拘ったり)や突拍子のない命名とそれに伴う奇抜なキャラクタの立たせ方、そして奈須きのこ京極夏彦的なやや衒学的にもってまわった言い回しが多いので、尚更そう感じてしまうような気がします。小奇麗だけれど特徴の無い文よりは荒削りながら独特さを持っているほうが個人的には好きですが、しかし影響されたもののバックグラウンドが容易に透けて見えるのもちょっとアレです。まあ、それを抜きにしてもそこに玉石混淆な同人の面白さもあるわけですし、そもそも物語としては非常に面白いので終始惹き込まれました。因みにOPテーマを入れるタイミングと挿入歌が来る流れは非常にすばらしい演出です。ポストひぐらしとか密かに言われているようですが、確かに充分匹敵できそうな気がします。選択肢がないところも個人的に好感触。また、セクションがタイトル(章)ごとに細かく分かれているので(一度読んだ章はタイトル画面から章を選択できるようになる)、読み返したいところも比較的早く辿り着けます。
本編内容と直接は関わりませんが、フォントの選択には悩みました。同じ文でも雰囲気が全く変わってきますし。初回起動したときのデフォはMS明朝ですが、それだと基本的に会話や一人称視点な口語主体の場面が多いからどうも固すぎます。ゴシックにすると多くの場面は割とぴったりだけれど、時折挟まれる祝詞のような厳かなシーンでは明朝体ほど緊張感が出なかったり。楷書体にするとかなり雰囲気が出ますが、やっぱり日常シーンが固くなるし、難しいー。結局HGゴシックMにアンチエイリアスかけて読んでます。
さて、まだ序盤にもかかわらず色々謎が多すぎてちょっくら整理し辛いので、本編を読んでて気付いた・思いついたことをとりあえずメモしておきます。以下ネタバレしますよ。あとで本編をもう一度プレイして整理用に用語集でもまとめようかしら。








↓ネタバレ注意!!








・東洋的、西洋的な民俗要素が入り混じっているのでその辺が妙な違和感を感じてるのかも?
単純に固有名詞だけだと尚更です。アリスとかWCLとかEnderとか。かと思うと月狂跳とか八相とか和風なものもあったり。この辺のちょっとちぐはぐなところがまた面白いといえば面白い。


・いぐしまめ→Ig→抗体?(免疫グロブリン:Immunoglobulinのことね)
Igとはチノさんの一言つぶやき。抗体のタンパク構造は二重になったYの字型だし、偶然にしては出来すぎだから作者の意図を感じます。「化楽天:しろのみるは、犬神白児猫又」の序盤において抗体の意味ともとれる使われ方をしているので、強ち間違いではないはず。この場合固有名詞のIgと抗体のIgと両方の意味でしょう。まあこれがどう繋がるのかまだわかりませんけど。
4つ目みたいなデザインも気になります。というのも、追儺の儀式において方相氏役の人は黄金の4つ目の仮面をかぶるし(この辺は本編でもちらっと触れてますけど)。追儺というと後に節分になる行事で(※追儺は大晦日)豆と繋がってくるしなー。節分の豆は転じて魔滅の意味も含まれるし、色々意味が掛かってるのかも?


縦読み発見。

「その黒猫は大きな瞳をして」の序盤。たまたまセーブしたから2回読むことになりましたが、始めの4行は宮さん独特の口調且つ状況(文脈)に対して自然に合ってる台詞なので、1回目は気付きませんでした。


・章を選択する画面の背景CGは皆猫の眼みたいな瞳孔になってる
猫が深く関わりそうな物語だからきっとなんかあるんでしょう。