悲しい目をしたマユゲ犬2.0

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東亰ザナドゥ(ver1.03)1周目クリア感想

東亰ザナドゥ(ver1.03)1周目トゥルーエンドクリア。96時間プレイ。大雑把に所感でも。ネタバレはなるべく書きません。

ファルコム初の現代劇ということですが、その実結構今風のファンタジー成分多めなので、目新しさは思ったより感じませんでした。最近のラノベを意識したのかどうかわかりませんが、シナリオや世界観、会話文において影響は随分感じられるように思います。


<良かった点>

  1. グラフィックやシステム周り・ゲームバランス等丁寧に作られている
  2. 王道シナリオ
  3. キャラ性能の適度な個別化
  4. トワ先生かわいい

1。かゆいところに手が届き、背景などうっかり見逃すような部分にも自社の小ネタを挟みつつこだわって作られていて、この辺はファルコムらしさの真骨頂と言っても良いのでは。モブを含めた登場人物もよく掘り下げられていて、国産RPGメーカーの歴史と資産がきちんと活きています。
2。良かった点でもありますが、裏返すと王道すぎて逆に不満とも言えます。匙加減が難しいところ。ラストの展開はZWEI2と似たネタでもありますし……。総合的に見ると個人的には満足でしたが。
3。イース等で培われた資産がここでも活きてます。ただしキャラ全員が揃うタイミングが今回は遅すぎるのでは、という危惧も。
4。かわいい。


<残念だった点>

  1. 各種アナウンスがシステム的に親切過ぎて没入感阻害
  2. 戦闘時のフリーカメラワークが調整の余地あり(とりわけロックシステムとの相性)
  3. 動く戦闘参加者は1人だけのために、折角の仲間との共闘感が皆無
  4. 現代劇とはいえ、ユウキやコウ等の発言がメタ過ぎてゲーム的にどうなのというの多数
  5. リアルSPiKAの歌唱力が……

1。かゆいところに手が届きすぎて、プレイヤーが「ゲームである」ことを意識せざるを得なくなるというジレンマの良い例だと思います。親切設計は最近のゲームの風潮なのかもしれませんが、どこまでそうするべきかはきちんと調整すべきだと思います。せっかくストーリーや世界観に没入してるところに「ここに行くとシナリオが進行してサブイベントが終了しますのでご注意ください」みたいなのは表現が具体的・直接的過ぎて、もうちょっとひねってほしかったところ。
2。これがおそらくシステム上最も問題の部分。オプションで一応設定はあるものの、混戦時にロックを使用すると敵に合わせてカメラワークが乱れたりするので戦闘時のストレスの原因になります。これはいっそイースセルセタみたいな自動固定カメラにすべきだったのでは。フリーカメラは背景とかも隅々まで眺められて好きですけどね。
3。仲間の絆が作中のひとつのテーマでもありますが、実際の戦闘は1人でキャラ切り替えというシステムなので、この辺に没入感との齟齬が生まれます。これもイースセルセタのように3人で同時共闘させるべきだったのではと思います。そうすることでXドライブ等のシステムにもテーマを踏まえた説得力が与えられると思うのですが。
4。細かいところですが、いくら現代劇とはいえ作中の人物が今回の世界観に対し「アニメやラノベじゃあるまいし」と言うのは皮肉にも程があるように感じます。現代っ子が異世界をいざ目にしたときのリアクションとしては正しいのかもしれませんが、この辺の表現は「ゲームとしては」もう少し考慮すべきだったのではと。また、ユウキが逐一ゲームに例えた発言を繰り返しますが、これも同様ですね。
5。コレに関してはゲームとしての評価と全く別の部分ですが、音程だけ合ってるだけの、まるで感情がこもってない歌の表現力で腰が砕けました……。まあ中の人たちは歌に関してアマチュア同然だしね……タイアップ企画とはいえこれは人選ミスというか、ある意味仕方ないですよね。声優さん(沼倉愛美氏)による作中のアカペラのほうが感情がこもってて流石というか。

そういえば「<<劫>>の柱」でミツキとリオン合流時の戦闘後、ソラのセリフ時にフリーズくらいました(ver1.03)。一度閉じて直近のセーブデータでやり直したら通りましたが、他でも同じことが起きた報告を見ましたので何らかの再現性があるのかと。あと最終話の日付が一部間違ってたような……(これはうろ覚えです、すいません)。まあいずれ修正パッチでも来るのではと思います。それ以外はだいたい完成してるようなので特に不満は感じませんでした。
追記:前述の日付は意図した演出だそうです。
出典(ネタバレ注意):http://dengekionline.com/elem/000/001/164/1164005/

……なんか残念だった点が多くなってしまったような気がしますが、大体共通してるのは「没入感の阻害」ですね。表現の工夫に余地ありといったところ。現代劇ということで試行錯誤中なのかもしれません。今作では明かされない部分もあり、続編を期待出来そうなエンディングだったので、今後に期待します。