悲しい目をしたマユゲ犬2.0

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イースVIII -Lacrimosa of Dana- クリア感想

難易度Normal、1周目真エンドクリアしました。地図/人物(好感度含む)/アイテム/釣り/モンスター図鑑=100%、隠しボス撃破、プレイ時間112時間。
早速結論から言うと、シリーズ最高傑作レベルでした。
では簡単に所感まとめ。具体的なネタバレはなるべく書きません。


<良いところ>

  1. 過去最大級のスケールを持つシナリオとボリューム
  2. 細かいところまで目が行き届いているシステム周り
  3. 伝統の爽快なアクション
  4. 魅力的なキャラクター達
  5. 美しい背景
  6. サブクエストや釣り等のやりこみ要素色々


1。
発売前ではファルコム社長のインタビューにおいて、クリアまでの目安が40時間程度とアナウンスされており*1、だいたい「セルセタの樹海」と同じ程度なのかなと思っていたところ、蓋を開けてみればとんでもないやり込みボリュームで、結局初回プレイで112時間かかりました。アクションが上手でオマケ要素を最低限こなしていけば40時間程度でクリアできるかもしれませんが、1周目からほぼ全てこなそうとすると倍以上かかります。また、シナリオも大小巧みな伏線を張り巡らせ、それらをきれいに回収していきつつ、過去最大級の壮大なスケールで描き切った手腕は見事というほかありません。真エンドを見た時、副題である「Lacrimosa of Dana」に込められた様々な意味を理解して鳥肌モノでした。
2。
いつものファルコムらしい、細やかな配慮が行き届いた快適な操作性とインターフェース。これからも維持してもらいたいところですね。
3。
イースVI以降から色々とアクションが派手になりましたが、今回もしっかり受け継がれています。セルセタでは(易しい方向へ)やや大味だったゲームバランスも、今回は弱点属性によるダメージ補正等のメリハリが相当付けられており、属性・ブレイク・スタンを意識した戦闘の立ち回りが重視され、より複雑さと楽しさの幅が増加しました。従来のイースシリーズでは難易度Normalだと基本的にはさほど難しくなく、ダメージ覚悟の多少ゴリ押しでもなんとかなってしまった部分もあったのですが、今回の大型の通常敵などは攻撃力がかなり高めに設定されており、危険な攻撃を3発程度食らうとあっという間に瀕死レベルに追い込まれる、ややスリリング(≒シビア)なゲームバランスとなっており、イヤでもフラッシュムーブ/ガードを活用せざるを得ない状況設定になっています。また、セルセタではEXTRAゲージの貯まり方がゆっくりで、ボス戦以外あまり乱発できない奥の手状態でしたが、今回はゲージの貯まりが相当早く、強大な大型の敵やボス等でバンバン使えるようになり、この辺も駆け引きと爽快感に一役買っています。今回導入された迎撃戦も、初回プレイ時のレベルではそれなりにシビアなバランス設計になっており、一筋縄ではいかない緊張感のある仕上がりでした。
4。
舞台設定上、従来シリーズより登場キャラクターは多くありませんが、その分個々の掘り下げ方が従来より深く、イベントボイスも豊富にある分、親近感等の愛着が湧きやすいように思います。ダーナ(CV:大西沙織)の声がキャラクターに対して実にぴったりで良い人選でした。
5。
今回はフリーカメラとなったことで、背景を隈なくじっくり見ることが出来てうれしいですね。舞台の大自然はもとより、古代建築物の意匠に壁や床のタイル・ちょっとした小物に至るまでデザインがよく設計されていて、美しい背景に思わず足を止めて眺めてしまうことがしばしばありました。それほどよく作り込まれています。気のせいかセルセタや東亰ザナドゥの時よりテクスチャ等の解像度が高い気が……?
6。
サブクエスト等をこなすことにより、良いアイテムが手に入ったりと色々とメリットがあるので、ゲームを進める上でも動機づけとして良いと思いました。また、今回はマルチエンディングなのでそれに伴い名声値の獲得も必要ですから、より必然性があります。キャラの好感度が高まると特別なイベントも見られ、××されたりとかなんとかかんとか。


<残念だったところ>

  1. ボスより一部古代種の方が強すぎてボス戦がぬるく感じる
  2. 古代種の異様な強さの割に経験値が概ね少なく、素材や冒険日誌の穴埋め以外に戦うメリットがあまり感じられない
  3. ラストダンジョン*2の構成と難易度
  4. カメラワーク
  5. 処理落ち
  6. キャラクターのモーションの使い回しが目立つ

1と2。
古代種の攻撃力の高さが、従来のシリーズの敵から比較すると異常とも思えるような設定でスリリングな戦闘を楽しめる反面、ボスの攻撃力がそれに比べて妙に低く、制作側のゲームバランスの意図がやや謎でした。また、古代種の経験値も概ね低めで、倒すのに苦労する割には経験値稼ぎには向いてないもののほうが多いので、素材以外に積極的に戦いたくなる動機が弱いというのが率直な印象です。大型の敵を苦労して倒したときの達成感・報酬のバランスがもうちょっと何かあると良かったのではないかと。
3。
まあ賛否あると思うんですが、自分のプレイ中は「たぶんここが最後なのだろう」と身構えた割に特にギミックも無くあっさりしてて肩透かしを喰らい、ステージ構成がちょっと簡易過ぎな気もしました。簡易である理由は設定上から考慮できますけどね。
4。
フリーカメラの宿命というか、慣れの範疇と言えばそれで収まる程度ではありますが、デフォルトのカメラ速度だと戦闘時にはやや遅すぎると感じる場面が多いので、気になる人は設定で少し高めに調整するといいと思います。
5。
ハードの仕様が決まっているので仕方ないと言えば仕方ないんですが、敵の多い乱戦時とか重いステージとかで処理落ちが起きると何が困るかというと、フラッシュムーブ/ガードのタイミングが感覚上ずれることですね。30fpsが確保できてないと思われるシーンが意外と目立ちました。
6。
一応「残念なところ」の分類にしましたが、これに関してはゲーム評価の本筋とは全く関係ないし、多分同社の他シリーズもプレイしてるファンしか気付かない気がしますが……。頻出例として、会話中に右手を胸元に当てるポーズとか(東亰ザナドゥでも頻出)、拳を掌で水平に受け止める気合のポーズとか(同様)、プレイヤーキャラの待機時ポーズ・動作とか、自社の他作からの使い回しがやや目につきました。欲を言えばバリエーションがほしいところです。


まとめ。
2016年もそろそろ終わりですが、今年プレイした一番印象に残ったゲームは何かと問われれば、間違いなく本作と言えます。思えばファミコンイースIからの付き合いですが、ファンとしても感慨がありますね。今後の新たな展開に使われそうな設定や伏線も色々あったように思えるので、気の早い話ですが次回作が俄然楽しみです。
余談。今回の話のスケールがあまりに大きすぎて、今後のシナリオのハードルが上がりすぎたのではないかとも心配してしまいますが……。

*1:参照:http://gamestalk.net/ys8-28/

*2:六部の方