悲しい目をしたマユゲ犬2.0

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壁井ユカコ「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち(1)」

読了。以下つらつらと感想でも。ネタバレは書きません。
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈1〉 (電撃文庫)ASIN:4840236054
最初のエピソードからいきなり結構ヘヴィで(あまり似てないけど、ふとダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」を思い出した)相変わらず痛セツナイ物語が続くのかと思いきや、以降はそれほどではありませんでした。いやまあ、比較ですが。
帯の文からしてメタな作品なのかと思いきやそうでもなく、おかしなホテルに住む奇人変人たちの夫々のエピソードが綴られています。それは過去の心の傷だったり、実際の体の傷だったり、すれ違いだったり、歪んでしまった心だったり。必死に生きることで何かが報われるかもしれないし、報われないかもしれない、そんな人々と世界。この物語は例えフィクションであっても、本質的なところを抽出するとそれは現実に限りなく近い、歪な世界に見えてきます。そんな世界において自分を守る手段は基本的に2つ。自らと世界の関係を閉ざすか、開くか。換言すれば、世界との関わりを切り離して孤独になり自らを守るか、世界と積極的に関わりを持つことで自分を装飾して取り繕い自らを守るか。あり方は違えど、どちらも自らの内面を見せることなく生きることに変わりはありません。その過度な防衛線を持つのが今回の登場人物たちの多くとなります。そういう意味においては、妙にリアルな作品だと思いました。まあ、そんなコムズカシイこと考えずにまったり読むのが一番良い読み方だと思います。作者の言葉を借りれば「ときに微ラブや微エロや微グロだったりしつつ」「おかしなホテルのおかしな住人たちの日常をゆるゆると」読むのが一番なんじゃないでしょうか。
そうそう、イラスト担当のテクノサマタ氏。氏のイラストがホントにエロカワイイのですよよよよ。どうしてくれましょう。
参考までに、氏のサイト→http://smr.mimoza.jp/kyz/
気の早い話ですが、続編が気になります。


あれ、Amazonの題名が間違ってる。「鳥荘の〜」ではなく、正しくは「鳥荘の〜」ですね。さっき私が直接Amazonのカタログデータ修正を送信しましたので、いずれ直るでしょう。
11/17追記:直りました。